星の輝く夜空の下で
「で、あんたが五人目」
こうして夏芽は記憶のない幽霊の歴史を明かした
「みんな突然いなくなっちゃうんだな」
幽霊は少し落ち込んだ
夏芽はその言葉に少し微笑みながら懐かしむように言った
「別れは突然で悲しいけど、みんなに出逢えてあたしは良かったって思ってるから」
幽霊は夏芽に見とれた
「もしかしたらあんたもあたしの人生変えてくれるかもしれないね」
「え」
「記憶のない幽霊はあたしがここまで生きてこれた証だから」
一檎さんに出会ってなかったらいじめで自殺してたかもとか姫がいなかったら友達いなかったとか夏芽は幽霊と出会ってなかったらと想像していた
「あ、あのさ」
「何」
「お前…」
「?」
「セクハラじじいにも出逢えて良かったって思ってるのか?」
「はぁ?」
「セクハラじじいにも人生変えてもらったのか?」
「セクハラじじいには二度と会いたくないって言ったじゃん!!あいつは別」
「あ、そっか。はは、変態かと思って焦った」
幽霊はため息を漏らした
「またあたしの人生変えてよ」
夏芽は幽霊に手を差し伸べた
「あたし浅岡夏芽」
幽霊は夏芽の手を握り握手した
夏芽には感覚がない
人間って暖かいんだと思いながら幽霊も名前を告げた
「俺、星夜(ホシヤ)」
「よろしく」