星の輝く夜空の下で
それは高校一年生の時
学校の帰り道の事だった
夏芽は学校の帰り道しか現れない朱子に疑問を抱いていた
「朱子ってさ、毎日何してるの?」
「映画見に行ったり、遊園地行ったり、イケメン探したり、あとは空でふわふわしたり…かな」
「へぇ、幽霊っていいな。生きてるより楽しそう」
朱子は少し暗い顔をした
「幽霊だったら全部タダになるし、何してても怒られないし、自由だし…」
夏芽の発言にどんどん朱子は黒くなっていく
「死んで楽になりたい」
朱子は怒った
「死にたいなんて簡単に言うな!!」
夏芽は出会って初めて怒る朱子に驚いた
「朱子…?」
「確かに幽霊は楽だよ。誰にも責められないし、自由になれる…けど、生きてなきゃ出来ないことの方がたくさんあるんだよ」
「…」
「今がすごく辛くて逃げ出したいならその場所から逃げればいい。誰が何と言おうと二度とその場所に行かなくていい。でも絶対に命だけは自分で捨てたりしちゃダメだよ。例え千人に嫌われても必ず一人は愛してくれる人がいるはずだから」
この時の朱子の悲しい顔を夏芽は忘れたりしなかった
命の尊さを知らない人に伝えたいほど心に染みたから
「ごめん、二度とあんなこと言わない」
「うん」
朱子は優しく笑ってくれた
そして何かを思い出したように言った
「あ、そうだ。生きる意味って知ってる?」