ある小説家の苦悩
いやいや、人を見かけで判断してはいけない。


私自身、外見と性格にかなりのギャップがあり、人様に驚かれることは日常茶飯事ではないか。

人は多かれ少なかれ意外な一面を持っているものだ。


気を取り直して、こちらも挨拶を済ませ、彼女がフルーツパフェを頼んだところで、さっそく作品を見せてもらう。


枚数はそんなに多くはなさそうだ。

ショートショートか、まだ制作途中のものなのだろう。

あっという間に読み終えてしまった。

とても短いストーリーだった。


しかしその僅かな時間に、私の思考は迷宮へと誘われた。


「どーだったぁ?」

彼女が無邪気に問い掛けてくる。

「えーと……」


私はとまどいながらも口を開いた。

まず、横書きという点でひっかかりを覚えたのだが、ま、まぁまぁ、そこは良いだろう。

それよりも何よりも……。

「これは、ラブストーリーですよね?」

「うん」

「登場人物両名が、男性のような名前で正直混乱したのですが…」
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