ある小説家の苦悩
「え?いいんだよ?だって、これBLだもん」

び、びーえる??


……あ、最近注目されている男性同士の愛がテーマの小説のことか。


そのようなジャンルに挑戦した前向きな姿勢は買うべきであろうが……。

「いきなり、ベッドシーンが出てきますね」

「うん」

「何だか唐突な印象を受けます」

「え?なんで?」

「まず、二人がどういう人物であるかの描写がまったくされていないし、男性同士がそういう行為に至るまでの葛藤とか、苦悩とか、バックグラウンドがしっかりしていなければ、読者は納得しないと思います」

「びょーしゃ?」


彼女はキョトンとしている。

「いえ、ですから、登場人物の人と成りの説明というか……」

「えー?説明なんか必要ないっしょ。だってそれパロディだもん。大人気マンガの○○と○○のことだよ?ファンなら百も承知でしょ」


……私は存じ上げないが…。


「それに、とにかくみんな二人がひたすらイチャイチャするとこが見たいだけなんだから。びょーしゃなんか、じゃまじゃま」
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