あの空の音を、君に。
「好きなの?」
言葉に、私の意思の全部がにじみ出ていた気がする。
里麻は私の意思に気づいたのだろう。
鋭いまなざしでこっちを見た。
「涼はどうなの?」
里麻が、私の質問に答える事をせず、私にふっかけてきた。
「涼は、伊月くんのこと、好きなの?」
思いがけない質問だった。
私は口を閉じた。
何も答えられなかった。
「伊月くんと毎日一緒にお昼ご飯食べてたじゃん。周りから見れば2人がカップルにしか見えないんだけど」
里麻がさっきとは一変、強い口調でそう言った。
気づかなかった。
周りからそう見られていたなんて。
そのことに今まで気づかなかった自分に失望した。