あの空の音を、君に。
「待ってるうちに里麻も伊月くんと話すようになったの。涼が好きになるのもわかる気がした」
そこまで言って、里麻はお弁当を片づけ始めた。
「涼のこと、親友だと思ってた。
――隠し事されたら終わりだね」
里麻の言葉が心にずんと響いた。
ハンマーで叩かれたような感覚だった。
『親友だと思ってた』
完璧な過去形。
それがどんな意味を含んでいるのか、私にでもわかった。
「涼には負けないよ。伊月くんのこと、好きだから」
そう言って、里麻はお弁当を自分のカバンに入れた。
私はただ、里麻の行動を、何の言葉も発さずに見つめることしかできなかった。
それから里麻は、静かに教室を出て行った。