あの空の音を、君に。
「ごめんね。昨日探さなかった?」
青木さんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「あっ……全然大丈夫っ! このこと忘れてたから」
あまりにも突然のことだったのに、自分にしては珍しく、舌がうまく回っていた。
「そう? ならよかったぁ」
青木さんが心配そうな表情から一変、安堵の色を見せた。
「ありがとう」
私がそう言うと、青木さんは大袈裟な程首を振った。
「いやいや、こっちのセリフだから」
「じゃぁね」と手を振って、くるっと軽やかに回って私に背を向けた。
何歩か私から離れていった青木さんの足が、ピタッと止まった。
そして、再びくるりと180度回転した青木さんと目が合った。
「今日、一緒にお昼食べよっ」