あの空の音を、君に。
「涼は――伊月のこと知ってる?」
「伊月のこと?」
「例えば、吹奏楽やめた理由とか」
吹奏楽をやめた理由。
きいたことない。
弱々しく首を横に振った私を見て、一瞬驚いた表情をした優花。
でも、すぐに落ち着きをとり戻していた。
あのとき、伊月と吹奏楽の話題で話していたとき。
確かに、あれ以上踏み込んではいけないバリアが伊月を包んでいた。
何もきくな。
それ以上踏み込むな。
そんなオーラが伊月から染み出ていた。