あの空の音を、君に。



ぼーっとしていた頭がその言葉を理解したのは、彼がその言葉を口にしてから数秒たってからだった。



「――え?」


「だから、どうしたら笑えるんだろうなーって思って」



不思議な人だ。


どうやったら笑える?

私に声をかけたとき、ニコニコ笑っていたくせに。



「わ、笑ってたじゃないですか。私に話しかけたとき」

「ん? あぁ。あれは、悪いけど、笑ってねぇ」



そういう彼は、最初と同じように笑っている。


やっぱり、不思議な人だ。


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