あの空の音を、君に。



そのコンクールが終わった途端、軽いスランプに陥った。


今までみたいにうまく吹けない。

音がもやもやしている。
息が十分に吸えない。指が動かない。



そのタイミングを見計らってうまく上達していったのが、私と一緒に三年間トランペットを吹いていた彼女だった。


彼女は負けず嫌いで、何をするにも一番をとりたがっていた。



コンクールで私にソロが決まったとき、彼女は嫌悪感を隠そうとしなかった。



それが辛かった。


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