あの空の音を、君に。



そのときからトランペットには吹いてない。


一応、現役のときから伯父さんから譲ってもらったトランペットを使っていた。

だから、家に楽器はあったんだけど、吹こうと思うと彼女のどや顔と鋭い視線が浮かんでくる。


思い出すだけで、手が震える。


どうにかして止められるレベルの震えではなかった。



そのとき、彼女の影響力の大きさを知った。



それと同時に、吹奏楽をやめたいと思った。


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