あの空の音を、君に。



その姿を見て、少しだけ心がキリッと痛んだ。



私はその記事を見なかったようにして、新聞を再びめくり始めた。




ふと、その手をとめた。



カラーのページに載せられた、ひとつ広告が気になった。



《補聴器》と黒々と印刷されている文字のすぐ下に、見覚えのある形のものが目についた。



大豆みたいな形のもの。


もしこれが補聴器なんなら、私はどこでこれを見たんだろう。


< 135 / 315 >

この作品をシェア

pagetop