あの空の音を、君に。

記憶




――――
―――



その日は、雨だった。


朝から降り続く雨にうんざりしながら部活へと向かった。



俺らが通っていた中学校は結構吹奏楽が強くて、県大会で大賞をとっているほどだった。



俺ら三年生にとって最後のコンクールが金賞に終わり、その日はコンクールの反省会をするスケジュールだった。



「伊月っ」



背後から、耳になじむ声が聞こえた。


振り向くと、同じ吹奏楽部のみのりがいた。

みのりの頭では、先が少しカールしたサラサラの髪の毛がポニーテールとなって揺れていた。


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