あの空の音を、君に。
なんでだ? みんな気づいていないのか?
俺が一人きょろきょろしていると、フルートの席に座っていたみのりが顔をあげた。
目が合って、「どうしたの?」と目で伝えてくる。
音が小さくなったのは俺だけ?
それに、さっきから耳が変な感じがする。
俺はみのりになんの反応もせずに、右耳を押さえてみた。
聞こえる。
だけど、音量は右耳を押さえていないときとあまり変わらなかった。
今度は左耳を押さえてみた。
きこえるはずの音楽が、聞こえなかった。