あの空の音を、君に。
案の定、彼の表情は一変した。
彼の瞳に、暗い影がさす。
さっきの言葉を口にした事に、後悔の波が押しよせてくる。
再び、私と彼の間に無言の空気が漂った。
「俺、本当の笑い方、忘れた」
少しの沈黙の後、彼がそう言った。
はっきりと聞き取ったその言葉に、希望なんかまったくなかった。
絶望のふちに立っているような、そんな声で彼は言った。
笑い方を忘れる、なんて事、あるんだろうか。
心の底から笑うって、そんなに難しいことだろうか。
彼の言葉を理解しようとしているうちに、自分に問いかけている自分がいた。