あの空の音を、君に。



それから反省会が行われ、まったく使え物にならなくなっている右耳のせいで、何度も話を聞いていないと間違えられ、顧問にこっぴどく説教された。


顧問からの説教はいつものことだから慣れているけど、話はちゃんときいていたのに、それを間違えられるのは少々ムカついた。




これくらいすぐに直るだろうと思っていた俺は、誰にもその事を話さなかった。


弱音みたいな事を吐きたくない。


そんなちっぽけなプライドが、俺をさえぎった。




でも、一週間経ってもその症状はもとに戻らなかった。


まさか、と思った。




それから、親に話して即病院直行。




「難聴ですね」




先生にそう言われるのは、なんとなく察知していた。


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