あの空の音を、君に。



そういえば、あいつが私の前から消えたあの日から、私が心の底から笑った事なんてあったのかな。


里麻と話をしていると、自然と笑いがこぼれる。

お笑い番組を見ると、自然と笑いがこぼれる。


それって、うわべだけの笑いだったのかな。




「深山さんは、心の底から笑える?」



彼が、私の目を見つめながら言った。


その瞳の奥には、光なんてなかった。

悲しみが満ち溢れている瞳だった。




「――私も、わかんない」



やっとの思いで紡ぎだした声の答えがそれだった。


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