あの空の音を、君に。



何分か、私たちの間に無言の空気が漂った。


どっちも何も話そうとしない。



ただ、雨の音だけがしとしとと私たちに語りかけていた。




「なぁ、涼」




突然、伊月が私の名前を呼んだ。


急すぎて、恥ずかしながら飛び上がってしまった。


いつもはそこで意地悪そうに笑う伊月も、今日は笑わない。


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