あの空の音を、君に。



「――の……てく」

「え? なんて?」



もごもごとしゃべる私に優花が聞き返した。



「……、伊月のサッカー、……見てく」



私がさっきよりはっきり発音したら、優花はちゃんと聞き取ってくれた。


その証拠に、見る見るうちに優花の頬がゆるみ、口角が上がっていった。


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