あの空の音を、君に。



「海っ! パスっ」



放課後のグラウンドに、伊月の声が響きわたった。


伊月の足から解き放たれたサッカーボールが海くんの足におさまった。


立ちはだかるたくさんの障害を、海くんは器用に避けていく。


海くんに蹴られ、再びボールが解き放たれる。


そして、スローモーションのようにボールがゴールへ吸い込まれていった。




隣で、「キャーッ!」と歓声が沸き上がった。

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