あの空の音を、君に。



黄緑のゼッケンの人は、なかなか伊月から離れない。



「あの黄緑邪魔なんだけど」



隣で優花がいらついた声をあげているけど、しょうがない。

それが、練習なんだから。



そう思ってたとき、伊月の体がすばやく動いた。


黄緑のゼッケンを身軽にかわし、ゴールまで一直線に走る。

途中で障害が来ても、さっきみたいに身軽にかわす。



伊月がボールをゴールにめがけて蹴った。


最後の障害、ゴールキーパーの手は、ぎりぎりボールに届かなかった。


ゴールのネットが大きく揺れた。



再び、隣から黄色い歓声が聞こえてきた。


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