あの空の音を、君に。
「え?」
謎の転校生であるあいつの名前を口にした私に、優花は目をまん丸にした。
「知り合い?」
「おー! 涼じゃん」
優花の声にかぶさり、あいつの声が響いた。
脳裏に、屋上の記憶がよみがえった。
青空の下、私と里麻と流星がそれぞれの楽器を構えてる。
「久しぶりー! この学校だったんだ? 吹奏楽するために昂賀(こうか)高校行くと思ったのに」
無邪気に笑う流星は、私の気持ちなんて微塵もわかっていないみたいだった。