あの空の音を、君に。



階段を息を切らしながらのぼる。


急いでいるのに、今日は一回もつまづかない。


走っていないと、私の中の何かが壊れてしまいそうだった。



流星に再会したから、動揺してんの?

流星が何も思ってなさそうだったから、傷ついてんの?



自分の気持ちがまったく整理できていないまま、私は鉄の扉を開けた。



今日は雨だ。

伊月がいるわけないのに。



無意識のうちに、屋上を目指して走っていた。



伊月に会いたい。


会って「大丈夫」って、あの優しい声で包み込んでほしい。


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