あの空の音を、君に。



「なんで、いなくなったの?」



私がそう言うと、流星が小さく「ごめん」とつぶやいた。



「一人暮らしのばあちゃんが倒れたんだ。すぐに行かなきゃいけなくなって。涼に言う暇もなかった。帰ってくること、里麻には知らせたけど、どうしても涼をビックリさせたくて――ごめん」



何が「ごめん」よ。

何が「言う暇もなかった」よ。

何が「ビックリさせたくて」よ。



今の話をきいて、流星が悪いんじゃないって気づいた。


でも、せめてメールでも電話でもいいから連絡してほしかった。

ビックリなんかよりも、私を安心させてほしかった。



「ごめんな。涼」



そう言って優しく抱きしめてくれる流星は、一年前よりも男の子らしい体になっていた。


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