あの空の音を、君に。
「なぁ。涼」
私の頭をおさえて抱きしめながら、流星が言った。
「涼が俺のこと嫌いでも、俺は涼のこと好きだから。誰にも負けないくらい好きだから」
その言葉をきいて、私はハッとした。
流星の胸を押して、手をほどく。
何してんの。
私には伊月がいるのに。
急に芽生えた罪悪感が、私の胸を締め付けた。
「涼?」
流星が心配そうな顔で私を覗き込む。
よっぽどひどい顔をしてるんだろう。
昔から、私の表情に変化があると、こんな不安そうな顔になっていた。