あの空の音を、君に。
「岡村伊月っていえば、この学校に来たのも奇跡ってくらいの人でしょ。この学年で一番モテる男でしょーっ!」
そこから、里麻の口は休むことなく動いていた。
里麻の話を要約すると、岡村さんは、とにかく何でもできる人らしい。
意外にも私たちの隣の中学校で吹奏楽をしていたらしく、里麻いわく「コンクールでアルトサックスソロを吹いていた超イケメンの有名人」。
そういやそんな人もいたなぁ、と曖昧に思い出した。
しかも、文化部にして陸上の大会で助っ人として出場し、現役の陸上部を抜いて、100メートルと200メートルで優勝していたとか。
どうやら、私はとんでもない強者に出会ってしまったようだ。