あの空の音を、君に。
「不思議なのが、吹奏楽も陸上も対して強くないこの学校にどうして来たかなんだよね。それに、吹奏楽も陸上も十分通用するレベルなのに高校からサッカー部に入ったってのも。ここの学校のサッカー部もいまいち強くないし……」
「気が変わったんじゃない?」
「がんばったら吹奏楽でも陸上でも県大会突破して、東海大会の常連になれるかもしれないんだよ? そうなったら全国も夢じゃないし」
「うーん。そんなにソロうまかったの?」
「あのねぇ、あの演奏きいてなかったの? 金賞受賞校のソロが下手だと思う?」
下手なところもあるんじゃない、と言いかけた言葉を飲み込んだ。
その言葉を言っても、倍返しで里麻ら説教じみた説得をされるだけだ。
あの人がそんなにサックスうまいんだぁ。
聴いてみたいな。
岡村さんのサックスを。