あの空の音を、君に。



「涼。お呼びだし」



いつものように何も考えずにお弁当を平らげ、何も考えずにボーっと席に座っていたら、優花が遠慮がちに話しかけてきた。



「え?」



驚いて優花を見ると、首で教室の扉の方をくいっと向けた。


そこには、海くんが立っていた。



「涼と話がしたいんだって」



そう言ってから「早く行ってきな」と耳元でささやく優花。


私は渋々立ち上がり、海くんのところまで行った。

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