あの空の音を、君に。



「急にごめんな」

「ううん」



海くんに連れられ、屋上にきた私。


ここに来るのは、すごい久しぶりだった。

もう二度と来ないと思っていたのに。



「伊月と仲直りしてないんだって? 本人から聞いたんだけど」



私はコクッとうなずいた。



「俺、伊月からはケンカしたとしか聞いてないけど、何があったの?」



海くんがいつも伊月が座っていた位置に立つ。

私はフェンスにもたれた。


あのことは口が裂けても言えない。絶対に。


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