あの空の音を、君に。
私は家に帰るなり、自分の部屋にこもってパソコンの電源を入れた。
自分のこの目で、岡村さんの功績を確かめたかった。
パソコンを起動させている間、私は勉強机に置いてある写真を眺めた。
中学校最後の吹奏楽コンクールの記念写真。
写真の中の私は、後列でトランペットを空に掲げて、無邪気に笑っていた。
最前列では、里麻がフルートをもって優しくほほえんでいる。
その後ろでは、金のアルトサックスに負けないくらい、まぶしい笑顔であいつが立っていた。
同じ楽器を演奏していたあいつと岡村さんを、どうしても重ねて見てしまう。