あの空の音を、君に。



里麻はどうして伊月とデートしてたんだろう?


だって、あれだけ海くんのこと好きだったじゃない。

二股なんて趣味じゃないって言ったじゃない。



『海と話すのと伊月くんと話すのと、どっちが楽しい? って聞かれたら、どっちの名前を答えてしまうのかもわかってた。でも、海とは別れたくなくて。そしたら、自然と涙がでてきて』



あのときの里麻の言葉を思い出す。



里麻は、本当に伊月のこと好きだったの?

伊月に対して好きは、友達としての好きじゃないの?

私が海くんを好きと思うように。


本当に好きなら――海くんのために涙流したりしないでしょ?




本当は、海くんのこと大好きだったんじゃないの?



大好きな彼に振られて、ヤケクソになっちゃったんじゃないの?


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