あの空の音を、君に。



いつの間にか、体が勝手に動いていた。



深いことは何も考えてない。



行かなきゃ。今すぐ。


急がなきゃ。





「行ったのは××病院だから!」




後ろからさっきの女の子の声が聞こえる。



病院名だけ覚えると、私は振り返りもせずに走りつづける。




そこまで遠くない。



大変だけど、走りつづければ伊月のもとに行ける。




早く行かなくちゃ。

そうしないと――――




伊月に声が届かなくなる。


< 252 / 315 >

この作品をシェア

pagetop