あの空の音を、君に。
「涼!」
少し湿った道路の黒いアスファルトの上を走っていたら、後ろから懐かしい声がした。
足をとめて振り返ると、隣から一瞬風が吹いた。
「え?」
「乗れよ」
キィッとブレーキの音がして、シルバーの自転車が目の前に止まった。
流星が自転車の荷台をポンポンと叩いた。
「何でここに?」
「いいから早く。岡村んとこいくんだろ?」
流星が少し息を切らしながら言った。
前にも、こんなことあった。
あのときも私は流星の自転車の荷台に乗ったんだ。
こくんと頷くと、急いで荷台に乗った。
私が流星のお腹まわりに手をまわしたのを確認して、自転車が動き出した。