あの空の音を、君に。



あれは、お兄ちゃんが骨折したときだった。


あのとき私は焦って、泣きながら道路を走っていた。


そのとき、さっきみたいに流星が自転車漕いできてくれて。

今みたいに流星にしがみついてひたすら2人で前から吹き付ける風を受けていた。




「ごめんな」



私が昔のことを思い出していたとき、声が前から聞こえた。



「え?」

「前はごめんな。無理やり」



あぁ、あの日のことだ。

キスのことだ。



「あのとき俺どうかしてて。久しぶりだったからなのかわからないけど。涼の彼氏でもないのに……ごめん」

「私こそ……嫌いなんて言ってごめん」



私きっと、流星のことは嫌いじゃない。


大切な幼なじみ。


いなくなったときはつらかったけど、今はもう大丈夫。


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