あの空の音を、君に。



「伊月はバカだよ」

「え?」

「だって、私のこと何も頼ってくれないもん」



頬に、あたたかいものが流れ落ちてきた。


伊月のお母さんもいるのに。

恥ずかしい。



「違うよ涼」

「何が違うの? 私、伊月の役に全然たててないじゃん」

「それは――っ」



ほら。


ここで否定してくれたら、少しは楽になれたのに。

伊月に、「涼に役にたってもらってるよ」って言ってほしかった。


これって、わがままかな?


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