あの空の音を、君に。
苦しそうな表情をする伊月に、胸が傷んだ。
「まだ私が伊月の彼女でいれてるんなら、私のこと頼ってよ。ひとりで何もかも抱え込まないで」
今まで思っていたことが、きれいに私の中から流れていく。
真っ白に、透明に。
「伊月は何もかも我慢しすぎだよ……っ」
「涼」
私の言葉を聞き終えた伊月は、そっと頭をなでてくれた。
「ありがとな、涼」
くしゃっとじゃなくて、生まれたばかりの小鳥を触る感じ。
それからそっと顔に手をあて、涙を拭ってくれた。
「じゃぁさ。涼」
「ん」
「ひとつ、わがまま言っていい?」