あの空の音を、君に。
隣を歩く伊月を見ると、悲しそうにうつむいていた。
そんな顔しないで――
「俺、あのときどうかしてて。涼の初めて、俺じゃなくなったから。自分勝手だよな」
すぐに体全体の体温があがった。
伊月も、ほんのり頬が赤く染まっている。
「あのときはあぁ言ったけど、本当は涼のことしか見てないから。だから――」
「それって、流星への嫉妬?」
「はぁ?」
気の抜けた返事。
伊月の反応に思わず笑ってしまった。
「かわいーっ」
「うるせぇ。せっかく本気で話してたのに」
「ごめんごめん」
「あぁもうっ!」
頭をくしゃくしゃとかく伊月。
それを見て笑っていたら、視界を白いカッターシャツでふさがれた。