あの空の音を、君に。
「私とずっと一緒にいてほしい」
道路には、私たち以外には誰もいなかった。
誰かいたら、こんなオープンに抱きしめたりするなんて恥ずかしい。
でも今なら、たとえ人がいたとしても、私は気にしない。
「俺なんかでいいの? いつ聞こえなるかわかんねぇし、いっぱい涼傷つけるし」
「そんなこと関係ない」
私はほんの少しだけ、強く言った。
「伊月がいいの。伊月にずっと隣にいてほしい」
「バカだなぁ」
そういって、伊月は私を自分から離した。
「俺が涼から離れられると思う?」
私の頭をくしゃっとなでる伊月。
「髪の毛ぐちゃぐちゃになっちゃう」と伊月の手から逃れようとしても、男の子にはかなわない。