あの空の音を、君に。
里麻の目が、私を見つめたままパチクリしている。
「遠慮されるほうが辛い。里麻だって知ってるでしょ?」
「だからって――」
「親友に幸せになってもらうのを願うのは、当然だし」
『親友』
もう二度と口に出さないと思っていた言葉。
その言葉が、私の口から里麻に向かって言えるなんて。
「じゃぁ、さ。涼」
「ん?」
「里麻が海に振られたら慰めてくれる?」
「当たり前じゃん」
それをきいて、里麻の顔のつっかえがなくなった。
いつもの、私の大好きな、里麻の笑顔だ。