あの空の音を、君に。



今の瞬間、やっと、本当の自分に戻った。



吹奏楽から逃げていた自分。


その殻から抜け出した。



「今から伊月のとこ行ってくる」

「うん」



「じゃぁ」と手をあげて、階段から流星が姿を消した。



少し流星の匂いが残る階段は、まだ、上に続いている。



私は再び、足を動かし始めた。



まだ、もっと。


笑顔で。



本当の笑顔で――



笑おう。



< 306 / 315 >

この作品をシェア

pagetop