あの空の音を、君に。



「そーいやさぁ、

俺、深山さんのアド教えてもらってねぇよな?」




いきなりの質問に、箸でつかんでいたミニトマトを落としそうになった。



「え……、あ、はい」


「教えて」



ポケットからケータイを取り出した岡村さんは、「赤外線ね」とつぶやくように私に言った。


私は急いで(それでも落とさないように)ミニトマトを口に放り込み、慌ててケータイを取り出す。




こんな嬉しいチャンスが来るなんて。

しかも、向こうから。



今この瞬間、頭の中で天使たちが嬉しそうに飛び回っているくらい、ここ最近で一番ハッピーな気分になった。


< 34 / 315 >

この作品をシェア

pagetop