あの空の音を、君に。



「なぁなぁ。

涼って中学校んとき何部だった?」



ある日の昼休み。

いつも通り、私は自分のお弁当を、伊月はフランクフルトパンを食べていた。



「中学校? 吹奏楽部だった」


「え!? 吹奏楽!?」


私が涼しげに答えたのとは対照的に、伊月はフランクフルトパンの串を落としそうになった。



「……大丈夫? パン落ちてない?」


「あぁ……」



そう言っている伊月は、明らかに動揺していた。


伊月が大事なパンを落としそうになるなんて……珍しい。


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