あの空の音を、君に。



「なんでよー。もったいない」



率直な感想だった。


このとき、伊月の表情を確かめていればよかった。

でも、伊月の顔を見ようとせずに、淡々と話していく自分。

それをとめるコントロールする力は、私にはなかった。



「同じソロでも、私と伊月のソロは全く違うじゃん。私が伊月だったら絶対に吹奏楽続けてるよ」

「俺と涼の考え方は全然違うだろ」

「それはそうだけど……。まさか、吹奏楽する気全くないとか?」

「ないね」



隣から聞こえたのは、まさかの答えだった。

しかも、即答。


< 52 / 315 >

この作品をシェア

pagetop