あの空の音を、君に。
「なんでよー。もったいない」
率直な感想だった。
このとき、伊月の表情を確かめていればよかった。
でも、伊月の顔を見ようとせずに、淡々と話していく自分。
それをとめるコントロールする力は、私にはなかった。
「同じソロでも、私と伊月のソロは全く違うじゃん。私が伊月だったら絶対に吹奏楽続けてるよ」
「俺と涼の考え方は全然違うだろ」
「それはそうだけど……。まさか、吹奏楽する気全くないとか?」
「ないね」
隣から聞こえたのは、まさかの答えだった。
しかも、即答。