あの空の音を、君に。
「――きっ――きゃぁぁぁぁ!」
驚きすぎて、伊月を押し倒してしまった。
普段はそれぐらいではよろけないだろうけど、今はそんなこと予想していなかったらしく、伊月にしては珍しく、そのままよろけて後ろの壁にぶつかった。
あまりにも近すぎる。
あんな美形な顔が目の前にあったら……。
「……ってぇ」
現実に引き戻されたのは、伊月のその声が聞こえてからだった。
「ごっ、ごめんっ」
耳を押さえながら、伊月が辛そうな顔をしていた。