あの空の音を、君に。



「――きっ――きゃぁぁぁぁ!」


驚きすぎて、伊月を押し倒してしまった。

普段はそれぐらいではよろけないだろうけど、今はそんなこと予想していなかったらしく、伊月にしては珍しく、そのままよろけて後ろの壁にぶつかった。



あまりにも近すぎる。

あんな美形な顔が目の前にあったら……。



「……ってぇ」



現実に引き戻されたのは、伊月のその声が聞こえてからだった。


「ごっ、ごめんっ」


耳を押さえながら、伊月が辛そうな顔をしていた。


< 65 / 315 >

この作品をシェア

pagetop