あの空の音を、君に。



「何すんだよ……」

「ごめんっ。本当にごめんっ。それから、ありがとう」



何度も謝ってからお礼を言った。


生まれてきてから、ここまで失礼なことをしたのは初めてな気がする。


伊月はと言うと、辛そうな顔から一変して、少し驚いている。



「どうしたの?」

「え、いや……。涼が素直だったから」

「はぁ!? 私はいつでも素直だし」



早口でそう言うと、伊月は少し困った表情になった。


そのまま、肯定も否定もせずに、ぶつかった壁あたりをキョロキョロ見回していた。



なんて失礼なやつだ。


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