あの空の音を、君に。
重たい扉を開けると、そこにはいつもと違う灰色の世界が広がっていた。
扉付近にでた伊月は、空を見上げた。
「降りそうだな」
「うん……」
私がそう頷くと、伊月はそれを確認してからその場に座り込んだ。
「早く食べよ。パンが雨で濡れると困る」
パンバカめ。
すでに伊月はクリームパンを袋から出していた。
「ほんと、パン大好きだよね」
私が呆れながら言うと、当の本人はパンに夢中で返事なし。