あの空の音を、君に。
「もう1ヶ月だよ。入学してから」
私はそう言いながら、お弁当のふたを開けた。
「伊月と会ったのも。時間がすぎるのって、ほんとにはやいよ」
お箸を持ってから、いつもなら必ず相づちをうってくれる伊月の声が聞こえないことに気づいた。
ちらっと横目で覗き見すると、伊月は耳を押さえてぼーっとしていた。
「伊月聞いてる?」と肩をツンツンとつつくと、伊月は化け物に会ったように驚いていた。
なんて失礼な反応なんだ。