あの空の音を、君に。



「涼」



柔らかい声が聞こえた。

その声が聞こえただけで、少し気持ちが楽になる。




伊月の目を、真正面から見つめる。



私が大好きな透き通るような瞳が、私の目をまっすぐに見ていた。





「大丈夫だよ」って聞こえてきてもおかしくない雰囲気を放っていた。


心のどこかで、そう言ってくれると信じていた。



でも、それは――――






「わかんねぇ」










私の思い込みにすぎなかったんだ―――。


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