あの空の音を、君に。




その瞬間、私の何かが崩れ落ちていった。



4月から作り上げてきた何かが、音を立てて崩れていった。





「ごめんな」





伊月が言った。



いつもの暖かい笑顔じゃなかった。


冷たい、悲しげな、今にも泣き出しそうな表情だった。



笑顔のかけらもなかった。






泣きたいのは、こっちだよ――――。


そう思った瞬間、私の視界が曇っていった。



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