あの空の音を、君に。
「ごめんな、涼」
さっきから、ごめんなを連呼する伊月。
謝らないで。
謝らなくていいから。
だから、一緒にいて――。
そんなわがまま、いくら伊月が優しいからってきいてくれるわけがない。
「もう――」
「ごめんね、伊月。私は大丈夫だから。もう行くね」
涙が浮かんでいることも忘れて、伊月に向かって笑顔を投げかけた。
もちろん、それは偽りの笑顔で。
どこかひきつっている笑っていない笑顔で。
伊月を笑顔にさせるって言ったくせに。
何も力になれない自分が嫌になる。